「ねえ、結局どの鳥が一番好きなの?」
一人の美人と鳥についてあれこれ会話していた時、突然きかれた。それまで、「オオワシよりオジロワシが好き」とか、「カモではシマアジが好き」とか、ちょっとツウぶって鼻を膨らませて話していたのだ。ツウったって「夕鶴」のヒロインじゃないですよ。
まるで虚を突かれたように感じた。考えてみると、ワシではオジロワシがカッコイイとか、小鳥ではノビタキのメスがかわいらしい、というように、二者の比較、あるいはいくつかの選択肢の中で何が一番好きかという話ばかりをしていたのだ。
「で、つまるところ、どの鳥が一番好き?」と問われて答えに窮してしまったのだ。
正直に言えばあまり考えたことはなかった。鳥類といっても種類が多いし、生活のしかた、生息環境は多様で、したがって形態も変化に富んでいる。
「あなたの受け持つ学級で、どの生徒が一番好きですか?」と、きかれたようなものかもしれない。(当然、答えは見つからない。答えは無いのだ。)
そこで、よく考えてみた。
「好き」と言っても条件は様々だろう。色彩、姿形、飛び方、行動、表情、味?
よく、「無人島に持っていきたい一冊の本は?」などという質問があるでしょう。
「無人島に連れて行きたい鳥」なんているかな?
うん!いるとしたら一番食べ応えのあるシチメンチョウかダチョウだ。でもなあ・・・。
やっぱり普段から鳥を見ている者としては、「無人島で見たい鳥」だよな。でも無人島にいる鳥なんて限られてるよなあ。シマフクロウなんていないだろうし、似合わないよなあ。無人島という設定自体に難がある。
やはり、ここは「自分の死ぬ直前、最期に見たい鳥」とするべきだろう。すると答えはアッサリみつかった。僕の場合はハクチョウだ。
なんであんな鳥が!
バタバタ歩き、やかましくて重いばかりの鳥が、と思われるかも知れない。北海道開発局からは「特に保護する必要のない鳥」とのお墨付きももらっているしねえ。しかし、理屈ぬきで好きなんだからしかたがない。
飾り気のないガサツな日常の姿と、渡りのため断固として北へ去る後ろ姿の落差がいいんだなあ。
最期に見たいのは、当然後者のほうであるね。
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