熊超えの滝へ
冬の熊越えの滝へ行ってみることになり、総勢6名で出発した。
根室沖に優勢な低気圧が進んできている。風も雪もそこそこの量だったが、行動できないような状態ではない。まずは行ってみることにする。
熊ノ湯のゲートから入り、閉鎖された横断道路の上を進む。スノーシューが必要ないほど表面がクラストしている。覆道を通り、大橋を渡って入り口に。いよいよ遊歩道に入る。遊歩道はすっかり雪に埋まり、夏とは全く異なる景色だ。夏にイヤというほど来ているので、道筋はわかる。一応、夏のルートに沿って進む。雪は、いく分柔らかく、スノーシューの能力が十分に生かされ始めた。
だが、そう思ったのもつかの間、ルートはかなり急な傾斜を横切るように進んでいて、その部分の雪面はガチガチに凍っている。ほとんど氷の壁を横切るような状態になってきた。スノーシューには爪が付いているのだが、全く役に立たない。
「これはアイゼンじゃなきゃ駄目だね」
などと話していた途端に僕の足下が滑った。体がどんどん滑り出す。もうダメだ。覚悟を決めてお尻で滑り降りる。小さなバウンドの後、体は浅い流れの中へ。
くるぶしくらいの水深だし、滑落距離も数メートルだからまったく問題は無し。
しかし、ハイキングコースと言うほどもない熊越えの滝が、今日ははるか遠くに感じられた。
山は侮ることができない。下りてみたらヒゲが凍っていた。
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