先日、釧路の帰り道、国道のあちこちに車が止まっている。藪の中から鎌を持った人が現れ出た。どうやらタラの芽を取ることが目的らしい。
よく見ると周囲には幹の途中からスパッと切られたタラが林立している。タラの芽は早春の山菜だ。柔らかな歯触りと口いっぱいにひろがる芳香は、一度食べたら忘れられない。この時期、皆が夢中になってタラを探したくなる気持ちはよくわかる。
しかし、鎌で枝ごとスパッと切ってしまうことはどうだろう。芽の部分だけを折り取るのであれば、タラの木は遅れて二番手の芽を付ける。だが、枝ごと切り落とすと芽の直下にある成長点も取り除かれる。山菜採りのルール違反だ。二番目の芽を取ることもルール違反とされている。再生可能性を失わせ、持続可能な利用ができなくなる。
そんなことに思いを馳せさせる様子は微塵も見せず、「ご意見無用」という幟を背負ってでもいるような態度の野卑な山菜採りの姿は不愉快きわまりないと感じた。
せっかくの春らしい穏やかな日差しが、悲しいものに変わってしまった。
今夜は、タラコとトマト、水菜、長命草のスパゲッティ。ありがたく美味しかった。
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