2009年8月26日水曜日

海からの贈り物





 昨日は久しぶりにマッコウクジラの近くに寄って見ることができた。いつ見ても、何度見てもクジラは大きいと感じる。しかし、どういうわけか昨日はそのクジラを小さく感じた。いや、大きさは間違いなく巨大なのだが、あらためて海の大きさが大きく広く感じたのだ。
 あの、巨大なクジラが生まれ成長し、生きる場が海だ。大暴れしたり全速力で泳いだりクジラたちも生きている以上思い切り身体を動かすことがないはずはない。海は、黙ってそれを受け入れ、クジラたちをものびのびと生活させている。なんと大きなことだろう。
私たちは「ホエールウォッチング」と称してクジラを追いかけ、それを鑑賞し、その大きさに感嘆している。クジラの魅力で人生が変わってしまった、という人も少なくないはずだ。もちろん、そのことは理解できる。あの大きさ、あの動き、あの噴気の音が魅力的でないはずはない。
 だが、それにも増して、海の広さと大きさを感じ取ることが、ホエールウォッチングの第一の目的かも知れない。
 そんな海からの贈り物のお話。

 一昨日、夏休みが明けて初めての授業があり、高校へ行ったら一人の女生徒が
「はい、先生、おみやげ」とペンダントをくれた。一見してサンゴで作った物かと思った。沖縄のおみやげ屋さんなどでよく売られているあれだ。しかし、よく見るとどこか見覚えのある形の物でできている。僕は嬉しくなった。
 別に女子高生からペンダントをもらったから嬉しいのではない。彼女の次の言葉によって嬉しくなったのだ。
「番屋のある浜で集めた物で作ったんです」と彼女。
 知床の海岸で見つかる貝殻、それを漂着していたテグスのような糸でペンダントにまとめてある。
 あらために眺めてみた。彼女のセンスの良さで、美しくまとまっている。もちろん世界で一つだけの物だ。すべて知床の海岸にあった物で作られているのだ。彼女の家の番屋は岬まで数キロという知床半島の先端近くにある。これは知床からのプレゼントでもあるのだ。
 大切な宝物が一つ増えた、この夏の出来事である。

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