2011年5月29日日曜日

オオバナノエンレイソウのこと



 エンレイソウが咲き出した。
 オオバナノエンレイソウだ。

 特にこれと言った理由はないが、この花が咲くと、ホッとするような穏やかな気持ちになる。
根釧原野でも早いところは、2週間以上前から咲いていたが、我が家の周りでは先週の半ばに、花を初めて見つけた。
 昨日、南の風で気温が一気に上がったことに合わせたように、一斉に咲き始めた。

 純白の三枚の花びら(内花被片)を持つ。
 めしべ(花柱)の断面は三角形、子房3室、おしべ(花糸)の断面も三角。おしべの数は6本、萼片三枚、葉も三枚。おまけに顕微鏡で花粉を見ると三角形をしている。
 よほど三という数字が好きなんだろう。

学名のTrillium kamtschaticum は「カムチャツカの3のユリ」という意味らしい。

北大の寮歌「都ぞ弥生」に

  雲ゆく雲雀に延齢草の
  真白の花影さゆらぎて立つ

という一節がある。

「真白の」とあるので、この歌の「延齢草」はオオバナノエンレイソウかシロバナノエンレイソウのことだろうが、「さゆらぎて立つ」のだからそれなりに大型の花であろうから「オオバナノエンレイソウ」を指しているのではないかと思う。

 本種は、種の周りが甘味のあるゼリー状の物質で包まれていて、アリを誘引して種を運ばせる事が知られている。こうしてアリを利用して繁殖地を広げている。
 ただし、種が発芽から、10~15年間は花を付けることはない。

 だからエンレイソウが咲いている土地は10年から15年間は人手でかく乱されることなく自然のままに置かれていたことを意味している。

 可憐に見えてしたたか、したたかに見えて繊細な早春の花のひとつだ。

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