2011年7月20日水曜日

クマとキツネと観光客


 今年はヒグマの出没が多い。
 「出没」と言ってしまうと何か突然湧いて出てくるような感じがある。クマはもともと生息しているものだから「出没」ではなく、たまたま目撃されただけだ。
 つまりたまたま人間と出会ったというわけだ。
 出会った場所が、主に人間の活動する領域なのかクマの活動する領域なのかによって印象が異なってくる。
 人間の活動領域、例えば市街地の真ん中にクマがヒョッコリやって来たような場合、「クマが出た」と言い、追い払いや駆除の対象になる。クマの領域であれば、そこまでの必要は無い。
 しかし、「人間の領域」と言っても、それはクマが住み始めた頃より、はるかに後のことであり、「いつから」とか「どこから」という線引きは、実は難しい。
 知床では100年も遡れば、ほぼ全域が「クマの領域」だったわけで、クマにしてみれば、その頃からの「時代の移り変わりに伴う変遷」など理解できるはずはない。

 住民の安全は最優先させなければならない。
 できれば野生の命を無駄に失わせたくない。

 毎年のことだが、この矛盾に悩まされつつ、クマへの対応を行わなければならない。

 先日も、知床峠の国道上で野生のキツネに餌を与えていた観光客の車が何台かいた。

 これだけ啓発が繰り返されているのに、こういう無責任な人々がまだまだ生き残っていることに驚き悲しくなった。
 仔ギツネは、ものすごく可愛い。だが、彼らにヒトの食物の味を覚えさせることは、確実に彼らの寿命を縮める結果につながる。
 可愛いと感じたら、そっと黙って見守るのが最良なのだ。

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