2011年8月9日火曜日

「保護と利用」と「繁栄とツケ」と

 知床半島の原生的な自然環境を未来の世代に残すために、世界遺産地域の保護と利用のあり方が論議され始めて久しい。
 利用者ひとりひとりの認識が深まり、意識が高まることが望ましいのだが現実には入り込む人間の数が増えるほど利用の質は低下し、環境を悪化させる結果になる。

 保護のためには人が入り込まないのが最良なのである。

 知床半島の自然が、原生的な状態に保たれてきたのは、人が行動しにくい「厳しい」環境条件や険しい地形や海の状態がそこにあり、人が入り込み難かったからに他ならない。

 知床を保護してきたのは知床自身なのである。

 このことを考えずして「保護と利用」の論議など成り立つワケがない。

 現実を無視して、机上で考えた空論で「持続可能な利用」などと言っても抽象論の枠から出ることは出来ず、それを知った上でなお、唱え続けるなら、それは自己欺瞞であり、詐欺であると言わなければならない。

 ところで、これと同じ構図をどこかで見たような気がすると思った。

 そう!原子力発電だ。

 「今の繁栄」のツケを将来の世代に払わせる。それが原子力発電だろう。
 廃棄物の処理、廃炉の処理、そして事故による汚染のまき散らし。

 今の世代は、未来の世代にどう申し開きするのだろう?

 どちらも「愚かしさ」だけでは済まされない。

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