2011年10月6日木曜日

札幌市にクマが「出た」



 今朝から札幌市内でクマが目撃されたというニュースが、何度も何度も流れていた。
 人口200万人の大都市だ。クマがノソノソ歩き回っているという話を聞いたら、皆が驚くに違いない。

 けれども、実のところ東京や大阪や名古屋などの大都市とはかなり事情が違う。
 札幌市の西から南にかけては、深い森林を持つ山地に接している。接している、と言うよりその森林自体が札幌市に含まれている。
 だから、札幌市内には(市街では、ありませんよ!)ヒグマが生息しているのだ。

 何かの事情で、そのクマたちが、ニンゲンの居住地に現れたとしても、さほど驚くことではないと僕は思う。
 以前、エゾシカが現れたこともあったはずだ。

 札幌をよく知らない人々のイメージとして、
 「大都会サッポロに熊!!!」という衝撃だけが強調されるということだろう。
 実態とは、少し温度差がある。
 そして、当の札幌市民も含めて、この実態をよく理解していない人が多いようだ。
 ほとんどの人が口を開けば
 「ビックリした」
 「驚いています」とコメントしている。

 本当は、こういう人々の反応の方に
 「驚いています」と言いたい。 

 ヒグマはニンゲンと桁違いの力を持った危険な動物であることは事実だが、北海道にもともと生息した動物だし、北海道で長く暮らしてきたヒトは、この大型ほ乳類と共存してきたのだ。

 危険があるのは事実だとしても、その危険だけを言い立てて排除しようとする態度は、自然への畏敬の念を忘れた、都市生活者の驕りといわれても仕方がないのではないだろうか。

 知床半島には、少なくとも300頭くらいのヒグマが生息しているだろうと言われている。
 羅臼の町中にも、しばしば出没する。
 もちろん、市街地に出てきた者は、追い払うし、危険な行動に及びそうな問題行動個体は、駆除している。また、児童生徒には、ヒグマと遭遇したときの対処法を教え、繰り返し訓練もしている。

 札幌で、今すぐ羅臼と同じようなクマ対策を行うのは困難だろうが、
 「クマが出た」のではなく、「いるクマに出会った」のだという解釈を取り入れ、もう少し長期的で、根本的なクマ対策を取り入れるべきではないだろうか。マスコミもそのような視点から報道すべきではないだろうか。

 そして、もう一点。
 知床で行われているクマ対策中の最終的な対応、「危険な個体は駆除する」という選択肢を真っ向から批判する人々が一部にいる。
 「クマを殺すのはかわいそうだからヤメテ!」という意見だ。
 このような意見は、クマとは縁のなさそうな大都会の住人から多く寄せられる。
 もちろん札幌市民からも。 

0 件のコメント:

コメントを投稿