その標本は、ミニバン3~4が入ればいっぱいになるほどの小さな建物の中に押し込められるように展示されていた。二頭分だった。
扱いが粗末なのではない。入れきらないほど大きいのだ。セミクジラの骨格だから。やむを得ないだろう。
痕跡的な骨盤まで付いている。
会議が東京海洋大学で開かれていたので、しばらくの間、鯨たちをゆっくり対面することが出来た。
必要時上に鯨を神格化したり美化したりする考え方とは距離を置きたいと思うが、こんな巨大なほ乳類が海で暮らしているという事実は素直に受け止めたい。
海や地球は、ニンゲンだけのものではない。
骨格は、静かにそう思っているようだった。
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