2012年7月6日金曜日

たまには 時代劇 ふぁんたじい

その昔、江戸の街に「彩菓堂」という菓子屋があった。
 そこの主人は、大変な吝嗇で、高価な砂糖を使うのを嫌い、南の島で採れる「裏煮倦夢」(うらにうむ)という、サボテンの一種から作る合成甘味料を菓子に使うことを考え出した。
 「裏煮倦夢」を栽培する南の島には「宇蘭村」と呼ばれ、村ぐるみで栽培し、村役人と結託した商人「糖伝屋」(とうでんや)が農民からの集荷も甘味料の合成まで独占し、彩菓堂と癒着して巨利を得ていた。
 当然のことに幕府の役人に、彩菓堂や糖伝屋から毎年、多額の賄賂を贈られていた。
 幕府勘定方 甘味奉行 野田泥縄守(のだどろなわのかみ)の名台詞
 「糖伝屋!お主もワルよのう」

 ところが、「裏煮倦夢」から作った合成甘味料を食べた人々の間で、健康を害する人が続出した。
 最初のうちは、その因果関係は良くわからなかったが、何人もの学者が調べて裏煮倦夢の害が報告されるようになった。
 彩菓堂や糖伝からお金をもらっている学者たちも、それを打ち消す研究結果を作り出して、必死で隠そうとしたのだが、裏煮倦夢が有害だといういことが人々の間に知れ渡っていくのを止めることはできなかった。

 しかし、多額の賄賂をもらっている幕府は、彩菓堂の商売を停止しようともせず、放置し続けた。
 憤った人々は、大勢で彩菓堂の周りを取り巻いて、有害な商品の販売を止めさせようとした。その時の人々が声を合わせたかけ声は
「彩菓堂 反対、 彩菓堂 反対」というものだった。

 時は流れ、21世紀。
 その時の人々の子孫たちも、まだ叫んでいる。
「再稼働 反対、 再稼働 反対」

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