2012年7月15日日曜日

映画「ホテルルワンダ」を観た

映画「ホテルルワンダ」を観た。
 1994年のルワンダ内戦で、フツ族過激派が同族の穏健派やツチ族を120万人以上虐殺した。その中で、1200名以上の難民を自分が働いていたホテルに匿ったホテルマン、ポール・ルセサバギナの実話を基にした物語である。

 ルワンダは第一次世界大戦まではドイツ、第一次世界大戦以降はベルギーの植民地であった。植民地時代、少数派のツチ族を君主及び首長等の支配層とする間接支配体制が築かれ、多数派のフツ族は差別的な扱いを受けていた。
 1962年の独立の前にツチ族とベルギーとの関係が悪化し、ベルギーは国連からの関係改善の勧告を無視して社会革命としてフツによる体制転覆を支援した。この結果、ツチは報復を恐れて近隣諸国、特にウガンダに脱出した。

 1973年に、フツのジュベナール・ハビャリマナがクーデターを起こした。彼は当初、ツチに対する和解策をとったが、やがて反ツチの傾向を強め、ウガンダに逃れたツチ系難民がルワンダ愛国戦線 (英:RPF、仏:FPR) を組織して、ウガンダを拠点に、フツのハビャリマナ政権に対する反政府運動を活発化させた。
 RPFは、1990年10月には、ルワンダ北部に侵攻し、内戦が勃発した。

 1993年8月、ルワンダ愛国戦線の猛攻と国際世論の高まりにより、アルーシャ協定が結ばれ、和平合意に至ったものの、1994年4月、フツのジュベナール・ハビャリマナ大統領とブルンジのシプリアン・ンタリャミラ大統領とを乗せた飛行機が、何者かに撃墜されたことに端を発して、フツによるツチの大量虐殺が始まった。

 1994年7月に、ルワンダ愛国戦線がツチ系の保護を名目に全土を完全制圧し、フツのパステール・ビジムングを大統領、ツチのポール・カガメを副大統領(のち大統領)とする新政権が発足し、紛争は終結した。

 フランス政府が、虐殺側に立ったフツの援助を組織的に行っていたなど、冷戦時代からの名残を引きずった西欧諸国の思惑が、事態を悪化させたという面もある
 なお、ルワンダ政府は、後にフランスがカガメを戦争犯罪者として告発したことなどを理由に同国と国交断絶したが、2010年にニコラ・サルコジ大統領がルワンダを訪問し、(ハビャリマナ政権に対して)外交的・軍事的な後押しをしたことについて「大きな判断の誤りがあった」と、虐殺に関する責任の一端があることを認めている。

 フツ族とツチ族は、元々は同じ言語を使い、農耕民族であるか遊牧民族であるかという違いでしかなく、貧富の差がそれぞれの民族を形成するなど両者の境界は曖昧であった。 遊牧業が主な生業であったツチは、牛を多数所有するなど比較的豊かであった。しかし、ベルギー人をはじめとする白人による植民地支配がはじまると、鼻の大きさや肌の色などを基準に境界が作られた。ツチは「高貴(ハム系あるいはナイル系)」であり、対するフツなどは「野蛮」であるという神話・人種概念を流布(ハム仮説)し、ツチとフツは大きく対立し始めた。

 元々、穏やかに共生していた民族が、植民地政策によってお互いを憎みあうように仕向けられた結果、起こった紛争の一つの典型例である。歴史、伝統を破壊されたことによって生まれる争いもある。2001年、この紛争は鎮静化に向かいつつある・・・しかし内戦で徹底的に破壊された経済は、再建の見通しは、なかなか立たない。

 ホテルの支配人だったルセサバギナの自伝が2006年4月に出版された。舞台となったホテル「オテル・デ・ミル・コリン」は、現在では営業を再開している。撮影のほとんどは南アフリカで行われた。
(以上、映画解説等から一部引用)

 このような事件は、あちこちでしばしば起きている。遠い別世界の出来事ではない。オウムによる無差別殺人もあったし、間近では大津市の中学生へのいじめ事件がある。関東大震災の時のデマに基づく朝鮮人虐殺もあるし、南京大虐殺もある。ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦もあった。
 カンボジアのポルポト一派による大量虐殺、ヴェトナム戦争におけるあまたの虐殺事件、そして、ナチスによるユダヤ人虐殺。広島や長崎への原爆投下も同じ行為だろう。

 人間は、なぜ、ここまで残虐で冷酷になれるのだろう。
 心の中に憎しみの対象を作ることで、人は特定の行動に駆り立てられやすくなる。これがしばしば世論操作や扇動に利用されている。
 先日、タレントの母親が生活保護を受給していた問題をマスコミや国会で取り上げ、一斉に袋だたきにした事例なども、このような心理を利用したのではないだろうか。

 自分を省みても、誰かを憎む時、真剣になっている自分がいる。
 それは、やむを得ない場合もあるかも知れないが、それと同じくらいに真剣に人を愛することができたら、皆がそうできたら、人間はもう少しマシに変わることができるかも知れない。

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