2012年7月31日火曜日

静謐の羅臼湖まで

ついに羅臼湖へ行く日がきた。
 「今の僕には、ヒマラヤへ登るほどの覚悟だ」と冗談めかして周りの人と話していたが半分以上は本気なのだ。
 そして、無事に行くことができた。
 羅臼湖は、以前と変わらずにそこに横たわっていた。
 静謐な衣をまとっているのも変わらない。
 一段と透明に感じられる湖上の空気を通して、知西別岳も静かに座っていた。

 6月6日に二輪車運転中にエゾシカと衝突し、肋骨と鎖骨を痛めた。だが、実はその時に左足を中心に腰や股関節も強打していた。骨折こそ無かったが、この影響で事故の翌朝には立つことも出来ず、車椅子を使っていた。その後、立てるようになり、一歩ずつ足を運べるようになり、ゆっくり回復してきた。
 今日、7月31日、根室管内の新採用教員研修で、参加者を羅臼湖まで案内することは決まっていたから、なんとかそれに間に合うようにと回復に努めてきた。

 もう何十回も羅臼湖に通ったが、今日の羅臼湖は、特別なものだった。
 午前中は、晴天だったが午後から雲が多くなり、遠くで雷鳴も聞こえ始めた。そして、それが徐々に近づいてくる。
 そんな条件下での羅臼湖行きだった。
 だから、往路は少しゆっくりと植物観察などをしながら進んだが、帰路は迫り来る雷雲と競走するかのように最大の速度で下山した。
 羅臼湖の余韻にひたりつつ、のんびりと下山したかったのに残念なことだった。だが、入り口に帰着すると同時に、激しい雷雨となったので、結果としては的確な判断だったと思った。

 何よりも、再び僕を受け入れてくれた羅臼湖に心から感謝したい。



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