2012年8月29日水曜日

「森の美術館」という授業

 昨日、羅臼高校の「野外観察」の授業で「森の美術館」を行った。  透明なプラスチック板をはめ込んだ二枚のスライドのマウントの間に、森にあるものを挟んで思い思いの世界を描くのだ。  「森にあるもの」というのは、たとえば花とか葉、苔や樹の皮、ハチの翅など二枚のプラ板の間に収まるものなら何でも良い。  それらのものを使ってとにかくスライドの小さな画面に自分の世界を描くのだ。  完成した作品は、相互に鑑賞しあい、作者は、簡潔なスピーチでその作品で表現したかったことを皆に解説する。  この授業は、個人的にも僕の好きな授業で、普段あまり目立たない生徒が思いがけない輝きを見せたりする。  誰がどんな才能を持っているか、何かきっかけでその才能が開花するか全くわからない。  このささやかな授業で、偉大な才能が引き出されるわけは無いと思っているが、日常では見ることの出来ない、意外なセンスの良さと出会うことはしばしばある。  母親の血液検査によって胎児の遺伝的な病気を事前に知ることが出来るようになり、それが臨床に適用されるというニュースが流れていた。  もし、妊娠中の子に何らかの障害が見つかったら、その時点で妊娠を中絶するという選択が可能になるらしい。  それが良いことなのか悪いことなのか、軽々しく判断できないが、出産以前に胎児に対してある種の選択圧が働けば、生まれてくる子が画一的になるのではないか、という危惧を覚える。  昨日の授業の時に僕の感じたワクワクした気持ちが、失われるような世の中になるのは、間違っていると思うのだが。

0 件のコメント:

コメントを投稿