2012年9月16日日曜日

旅の記  その1

   8月13日 【第一日目 札幌~インチョン(韓国)~ウイーン】  朝6時26分、新札幌発 新千歳空港行き 普通列車に乗り新千歳空港へ。  7時少し前に付いて国際線出発ロビーへ。  チェックインは7時からということだったが、ちょうど良い時刻に着いたので、ほとんど待つことなく手続きを終えた。  その後、少し待って、8時から始まる搭乗前の保安検査と出国審査をほぼ連続して終えた。あっという間のことで、成田と違って長く待たされずに済んで快適だった。 千歳発ソウル インチョン空港行き KE796便はほぼ定刻の9時に出発した。 機内は日本人が多く、大多数はインチョンで乗り継いでどこか別の目的地に向かうようだ。成田空港や関西空港で長い列に並んで、延々と待たされることを考えると地方空港から海外へ出発することがいかに快適なことかを実感した。このようにして、インチョンが確実に東アジアのハブ空港になっていることを実感した。  おまけに価格も安い。今後、また海外へ行く機会があれば、再びこの経路を利用しようという気になる。 インチョン空港に着くと乗り継ぎをする客に対してもさらに保安検査があり意外に感じた。検査は、日本で行われるものよりずっと厳しいもので、あらためて韓国の緊張を感じ取った。  後で振り返ってみると、この時の待ち時間が、往路の行程でもっとも長かったように思う。  KE933便というのがヨーロッパへ向かう便だったが、行き先は「ウィーン経由チューリッヒ」となっていた。大韓航空では、ウィーンに飛んだ機体がチューリッヒを回っててから韓国に帰るという運用をして、一機で二つの目的地をカバーしているようだ。  登場するまでは定刻通りに円滑に進んだが、座席について出発準備が整ってから40分以上出発が遅れた。  「管制塔の出発許可を待っている」というアナウンスが一回あったきりで、時間がかかっている原因は知らされなかったが、韓国人の乗客は皆おとなしく待っていて、なんとなくこの国が置かれている緊張状態が伝わってきたように感じた。  やっと離陸。機内食で食べたビビンバが、とても美味しかった。これを書いているのは、西シベリア上空だ。   高度10972m 対地速度911km/h。近くの都市はオムスク。  もう少ししてウラル山脈を越えるとヨーロッパに入る。  インチョン空港では、日本人の姿も多く目に付いた。  韓流ドラマに関連した催しなども行われていたようである。  領土問題や慰安婦問題が急浮上し日韓の政府の間はギクシャクとなってきた。それに煽られてか煽るためか、偏狭なナショナリズムに走る人たちも目立っているが、国民同士の交流は、確実に根を張っているのではないだろうか。  韓国の事情は知らないが、今の日本の国民でまともな人なら政府やそのやり方を無条件に支持したり、政府の発表することをそのまま頭から信じている人はいないのではないか。  そんな国民からの信頼を失った政府が、韓国との関係を損ねても、そのまま多くの国民の心が手のひらを返したように政府に寄せられるということは無いに違いない。 日本人は、今、急速に無政府主義者化しているのかも知れない。  政府の側も、必死でナショナリズムを煽り立てようとしているようであるが。  人間にとって必要なものは、ネーションではなくカントリーなのではないだろうか。  その土地で、生産された食べ物を食べ、生き甲斐を感じながら健康で安心して暮らしていけること以外に何が必要だろう?  「戦争で勝った」というニュースだろうか。まさか。  思い出してみるがいい。  人々の思考の前面に「国家」が登場した時はろくなことはなかったはずだ。 そんなことを考えているうちに意識は睡魔に絡め取られていた。

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