2012年10月16日火曜日

風によせて

桃色の衣に被われていた マユミの実が その衣の隙間から 深紅の実をのぞかせ 側溝の所々に佇んでいる 大陸から たっぷりと冷気を含んだ高気圧が来て 脊梁山脈から風を吹かせる 風は知床の山を下って 谷で速度を上げ 体当たりするように海面にぶつかる 僕たちには 根室海峡へと走り去る 風の足跡が見える ユーラシア大陸で生まれた冷たい風の ここは終着点なのだ シベリアの透明な湖の岸で生まれた風たちが ずっと旅してたどり着く ここはそんな海であるのだ 思惑やはかりごとを凍らせ 欲望を震え上がらせる風が これからやって来ることを ふれ回るように風が走っていく 根室海峡 風よ 南へ向かえ 南の島に渦巻く 塵芥を吹き飛ばしてしまえ

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