2012年10月18日木曜日

全快しました!

 朝8時、釧路の病院へ行くために家を出た。  6月にバイクでエゾシカと衝突した怪我の治療のためだ。  肋骨の骨折の方は、知らぬ間に治っていて、痛みを感じなくなってからかなり経っている。鎖骨もほぼ完治に近く、医師から海外に出かけても差し支えない、と言われてはいたが、治療に責任を持つ立場から最後の見極めをする必要があったのだろう。今日の通院が指示されていた。  家を出て間もなく、頭上を3羽のオオハクチョウが飛び過ぎた。今年初めて見るハクチョウだ。北西の方向から飛来したということは、昨夜くらいにサハリンを飛び立って、今、風蓮湖に到着したのだろう。 「よく来た。お疲れ様」と心で呼びかける。  病院は思いの他の混雑で、けっこう長時間待たされた。やっと呼ばれて診察室に入ると担当の医師は、レントゲン写真を満足そうに眺めながら 「もう、骨の痛みはありませんよね」と念を押した。 「全くありません。肩の周りの筋肉がまだ元に戻っていないだけです」 「ああ、それは、長期間バンドで固定していたからやむを得ないですね。リハビリテーションの指導を受けていってください。通院は、今日でおしまいにしましょう。何か問題が出たら、また、いつでも来て下さい」  こうして、6月6日の深夜に運び込まれたこの病院との縁が切れた。  自分でも状況が信じられないほどだった。  自分の身体が、自分のものではないような不思議な感覚だった。  病院で目覚めた朝、ベッドから立ち上がろうとして立てなかった時のショックも忘れられない。  衝突直前のシカの顔。救急車のサイレンや振動。入院、点滴、誰かに介助してもらわなければ全ての日常生活が成り立たないという状況。全てが生まれて初めての経験だった。  気を失って路上に横たわっている僕を見つけて救急車を呼んでくれた人。  救急隊員。怪我の程度を的確に判断してくれた最初に運び込まれた病院の医師や看護師。そして搬送先で受け入れてくれた病院のすべての職員。中でも病棟の看護師や医師、見えない所で食事を調理してくれていた人々や駐車場で交通整理をしているおじさんたちまで、僕がここまで回復するために、いったいどれだけの人々の努力やはたらきが注がれただろう。  もちろん職場の仲間や友人たち、肉親や家族の心労は言うまでもない。  あらためて、みな様に感謝したい。  本当にありがとうございました。これからは、取り戻すことの出来た健全な身体と健康を大切にしていきたいと思います。  帰り道、振り返ると美しい夕焼けの雲が浮かんでいた。

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