2012年10月26日金曜日

オーストリアの美術館で買った塗り絵のこと

 先月、ウィーンの美術館で世界的な定番の絵本「はらぺこあおむし」の塗り絵を買ってきた。  孫たちのおみやげにするためだった。  離れた所に住んでいるので、なかなか手渡す機会がなく、郵送することにした。  荷造りをするために、今日、それをあらためてじっくりと見たのだが、実によくできていると思った。  ほぼ絵本のストーリーの通りに、塗り絵が続いている。青虫が次々にいろいろな食べ物を食べていく、核心部分は、子どもが青虫になりきってごちそうに色を塗る様子が容易に想像できて、白紙に描かれた黒い線のみの絵を眺めているだけでワクワクしてくる。  このような幼児向けの教材が、日本ではどうして開発されないのか、残念に感じられた。 日本では、子ども向けの「文化」は一大複合産業で、テレビ番組・菓子・玩具などが一体となり、強力な宣伝によって普及している。  毎年、秋に新番組がスタートし、新しいヒーロー(どれも似たようなものだが)と新しい「武器」が登場する。そして、暮れのクリスマス(クリスマスが日本にあること自体が奇妙なのだが)に向けて、それらを模した玩具が発売される、という循環が繰り返されているのだ。  はっきり言えば、おもちゃ産業が子どもを食い物にして成長しているのだ。  そこには、玩具産業の成長はあっても、子どもたちの健全な成長は無い。 子どもを「これから発達し、未来を担う人格」とみなすなら、子どもをダシにしてお金儲けをしようなどという企業に、この国のより多くの人々が批判的であるべきだ。  それによって、企業の側も、より質の高い子どもの文化の創造を担っているという自覚が生まれてくるだろう。  これから、どうしていくのが一番良いのかを考えなければならない。

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