2012年12月13日木曜日

遠くを見て選べ

 人の考えはさまざまだ。この多様性は必要なだし将来に向けて大事にしていかねばならないと思う。  しかし、今、身に降りかかってくる生活苦や放射能の不安、アメリカ軍の横暴や戦争へと傾斜しかかる風潮に批判的であるにもかかわらず、どう見てもそれらに反対する投票行動に結びついていないと思われる人がいるものだ。  そのような人を観察していると自分の生活上でのつながりでできた情実とか各政党が選挙向けに発表する政策を手がかりに候補や政党を選ぼうとしているようだ。少なくとも普段の国会で政府に対してどのように追求してきたかとかどんな質問をしたかを参考にして選んでもらいたい。本当は、その候補者の日常の主張や折々に発表される政党の見解や行動で選んでもらいたいと思うのだ。  正直に言えば、それはなかなか難しいかも知れない。「時の勢い」のようなもので投票行動を決める人々は多い。そして忸怩たる思いを抱きながらも認めざるを得ないのはそれも民主主義なのだということだ。  アウシュビッツを案内してくれた日本人のガイドがいみじくも言っていた。 「ヒットラーは民主的に選ばれたのです」と。  それは、とても恐ろしい言葉に思えた。  僕らは、民主的な人格を持ち続ける限り、あらゆる「反動的な勢力」や「反民主的な勢力」の存在も認めなければならないし、その時の気分でそれらの勢力を支持する民衆の存在も認めないわけにはいかない。  そのような条件で出来ることは、社会の進歩とはどういうことか、一人残らず皆が幸せになるとはどういうことかを粘り強く説き続けていくことだけだろう。目先にとらわれず、一歩離れて全体の構造を見て下さい、と訴えることだけだろう。  昔、クラス担任だった頃、生徒の進路を考えさせる時に「遠くを見ろ」と教えたことをふと思い出した。  カヌーを漕ぐ時に、遠くを見て進めば真っ直ぐに進める。目の前だけを見ていると進路がぶれるものだ。  遠くを見よう。

0 件のコメント:

コメントを投稿