2013年1月10日木曜日

「スーパーおおぞら」で

 札幌の父を見舞い、帰路についた。列車の発車時刻より若干早めく父の病室を出て、少々買い物をしてから14時20分発の「おおぞら7号」に乗った。  この編成は、先日走行中にドアが開くトラブルを起こした編成らしく、普段は2両ある自由席車両が1両のみに切り詰められていた。その影響で僕の乗った5号車はキハ282の2000番台で、シートがちょっと安っぽい自由席用の車両だった。  乗り心地は五十歩百歩だから、珍しい運用を体験できたという点で、マニア的には喜ぶべきなのだろう。 以前も書いたことがあったが、釧路と札幌の間を往復する「スーパーおおぞら」に使われている車両は、キハ283系というディーゼルカーだ。「スーパーおおぞら」は一日7往復14本あり、約4時間で走っている。  釧路・札幌間は自動車で高速道路を使っても6時間くらいはかかるし、高速料金も安くない。400キロ以上の道のりがあるので燃料代もかなりかかる。だから鉄道に乗れば居眠りをしたり本を読んだりしながら快適に旅できる。おまけに経済的だ。  そんな理由で、鉄道を利用する人は多く、この特急列車は人気のある方だと思う。  ただし、そのような「稼ぎ頭」の特急として、非常に過酷な運用を強いられているように思われてならない。「スーパーおおぞら」が釧路と札幌の両終着駅で折り返すための停車時間は、概ね40分くらい。その間に座席の向きを変え、車内の清掃を終えて慌ただしく引き返していく。  カーブで車体を傾ける振り子式だからカーブを曲がる時でも速度を落とさず、最高速度130km/hで飛ぶように走っている。機械だから文句は言わないだろう。だが、それにしてももう少しいたわって使ってやれないものかと、お節介なことを言いたくなってしまう。  まあ、経済最優先の社会にあって、「休むこといたわることは悪」とされ、人間でさえ酷使され使い捨てられていく世の中だから、「たかが機械」である鉄道車両に同情は無用と言われそうだ。しかし、昔の国鉄時代と比べて現代の鉄道車両はみな疲れていると感じている人も少なくないのではないだろうか。   そして、恐ろしいのは、機械を酷使し続けることで、予測不能の大事故がおきるのではないかということだ。  「スーパーおおぞら」は、昨年あたりから大小のトラブルを起こしてきた。つい先日、中央自動車道の笹子トンネルでの天井板崩落もあった。  効率と経済性だけを極端に追求する基本構造を変えなければ、日本は本当は非常に危険な水域に突入しているのではないだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿