2013年1月12日土曜日

森を歩けば

 このところよく森を歩き回る。  わが家の草地(「原野」と呼んでいるが)の周辺はちょっとした樹林に囲まれていて、その中の西別川沿いの林は永年にわたり人手が入っていない。「森」と呼ぶのはちょっとおこがましいのだが、市街地や道路からかなり離れていること、そこへ至る道が無いことなどから勝手に「森」にしている。  確かに雪の上には動物たちの足跡以外は見つからず、人が入ってきている形跡は見当たらない。こんな場所が自宅から歩いて数分のところにある環境は嬉しい。  いつも森を歩くようになると樹木の一本一本の特徴がわかるようになる。今までは、どれも同じような木で区別がつかなかったが、それぞれの個性が見えてくる。もちろん、すぐ「なじみ」になる木もあるし、あまり目立たない木もある。  特に、最近足繁く通っている河畔の森は小径木が密生しているので目立たない木が多い。そのため、これまで一本一本をじっくりと見る機会がなかったのだろう。「森を見て木を見ない」状態だったかも知れない。  一本ずつの特徴がわかってくると、それらがむやみに愛おしく感じるものだ。まるで昔からの知り合いででもあるように。  今日は一本のキハダに寄りかかって30分くらい動かずにじっとしていた。ゴジュウカラ、ハシブトガラ、エナガ、コゲラなどがすぐ近くまで寄ってきた。その後にアカゲラとカケスが寄ってきてワタリガラスが頭上を通り過ぎた。  歩き回っていると、これらの小鳥たちは、一定の距離以内に近づいてくることはない。動かずにいると近寄ってきてくれる。双眼鏡など不要な距離にまで来る。  考えてみると当たり前なのだが、久しくこのような体験から遠ざかっていた。忙しかったからだ、と言い訳したくなるが止めておこう。  「自然環境教育について」などと普段エラそうなことを振りかざしているが、自然の懐の深さを自分はまだまだ実感してないのだなと反省した一日だった。  夕方、犬を連れて原野を歩いていたら一羽のコミミズクが、ちらりとこちらを見て通り過ぎた。  「やっと気づいたのか?お疲れさん」と言うように。

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