2013年2月11日月曜日

氷の流れ着く浜で 氷の国の歌を聴いた帰路 熱い心も凍りつく薄ら寒さを覚える

 ロシアの歌謡曲、と言っても虐げられた人々、「社会」からはじき出された人々の間で歌い継がれてきた歌をロシア語で歌う歌手石橋幸(いしばしみゆき)さんと魔法のようにアコーディオンを弾く後藤ミホコさんによる「私の庭」と題したコンサートが今夜羅臼町で開かれた。  昨年11月にも羅臼で公演して下さったお二人だが思いがけない早い再会となった。  小柄な身体のどこからあれほどの声が出るのかという声量と生き生きとした表情や仕草で言葉の壁を跳び越えて伝わる情感には聴くたびに感心する。  東京でロシア歌謡のライヴが聴ける酒場を経営しているという石橋さんだが、半年も経ずに羅臼に来てくれたのは、親しいお友達がいるかららしい。  東京まで行かなければ聴けない貴重な歌を安価に聴くことができて、ありがたい限りだ。 約2時間にわたって16曲も演奏してくれて、中には「カチューシャ」や「黒い瞳」「百万本のバラ」など日本でもおなじみの曲もあった。しかし、「マダムバンジョー」とか「カラス」「行かないで・・・秋」などというあまり知られていないけれど深い意味を持った歌、深刻な背景を持っている歌、そしてユーモラスで笑ってしまうような歌など多彩なプログラムであった。  ロシアといえば流氷の生まれる国だ。  演奏会が終わって外に出ると東よりの強風で流氷が押し寄せている気配がした。  熱い気持ちで帰路に就いたが、ラジオから流れる関東地方の交通情報を聴いて心が凍りついてしまった。  「常磐自動車道は震災のため○○インターと××インターの間で通行止めです」と言っているのだ。  いつの震災だろう?もう二年も前の震災だ。 思わず「ウソつきやがれ!」と口をついて出た。  なぜ「原発事故のため」と言えない?  都合の悪いことはとにかく隠そう隠そうとする体質が、こんな所にもしみ出している。  何度でも言ってやろう。  常磐自動車道は、放射能汚染地域を通っているから今でも復旧工事ができなくて通行止めなのだ。

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