2013年2月28日木曜日

雪降る原野から

 いま、20時20分。  風の無い空中を雪が降っている。  粒の大きな雪が降ってくる。    平らに広がった雪の粒は  途中の空気と戯れ  小さな紙片のように  ヒラヒラと  あとからあとから  降ってくる。  この先止むことが無いように  降り続ける。  ここは北緯43度22分  温量指数46(※注)  最低気温の記録はないが  植物にとっては日本列島の寒極の一つだ。  雪原に独り立つサクラが花を咲かすまで  たっぷり100日はかかる この原野に似合っているのは  一本だけ離れ、独り立つ孤独なサクラだ。  大勢が花を囲んで大騒ぎする花見は似合わない。  100日したら  独りでサクラと向き合いに行こう。  今日の雪のように  止むことなく舞い落ちる花びらを  受け止めに行ってみよう。 ※作者注 「温量指数」:植物の生育に関する指数とも呼ばれる。     その土地の毎月の平均気温から5を引いて、正の数だけを積算した数値。     5を減じるのは、一般に植物は5℃以上で光合成を行い、消費するエネルギーを   上回る生産をして、蓄積できるとされているから。つまり植物は5℃以上の気温で   成長できるということ。 根釧原野の指数は46.1、稚内:55、東京:131.3、那覇 :212.4

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