2013年3月25日月曜日

トップが伸びないのは平等主義が原因か?なんと陳腐な自民党教育再生実行本部提言

 自民党の教育再生実行本部は、「安倍内閣が最重要課題に掲げる経済再生のためには人材の育成が不可欠であり、平等主義から脱却してトップを伸ばす戦略的人材育成を行う」という提言をまとめた。  その内容もさることながら 「平等主義から脱却してトップを伸ばす戦略的人材育成」というのがおかしい。とんでもないことだ。  教育の機会均等は、憲法第14条(法の下の平等)に基づき、第26条第1項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と謳われていて、日本における教育の根幹をなす精神のひとつだ。  その精神を踏みにじり、教育の現場に無用な対立と差別を持ち込み、劣悪な環境を放置してきたのは他ならぬ戦後イヤになるほど続いた自民党政権であろう。そのような中でも児童生徒と直接向き合っている教師たちは献身的な努力で、生徒の学力維持に努めてきた。  イジメや不登校、教師の問題行動など教育をめぐる問題は山積している。その原因の全てとは言わないが、大部分はガチガチの官僚機構と化して統制を強めようとする教育行政とそれと有効に闘うことができず、不毛な対立を激化させることしかできなかった一部の硬直化した教職員組合とに原因があると思う。  その混乱を口実に「教育を再生する」と空疎な言葉だけを振り回した挙げ句、打ち出されたのが「平等主義」への攻撃であろう。  幼稚園の運動会で一列に並んでゴールインするような、極端に歪んだ「平等」の解釈があたかも一般化しているように宣伝し、その弊害で学力が低下していると結論づける。  この論理は単純でわかりやすく、失礼な言い方だが教育現場から縁遠い人々から支持されやすい。そのような「支持者」を煽って、一気に打ち出してきたのがこの「提言」ではないだろうか。いかにも嬉しそうにホンネを述べているな、という印象を受けた。  本当に平等主義が諸悪の根源だろうか。  提言では、「国際社会で活躍する人材を育成するため、英語教育の抜本的な改革を行うことや、イノベーションの推進を目指し、博士号取得者を倍増させるため、理数教育を刷新すること、それに、情報通信技術の教育を充実させる」としている。  そのために英語教育については、英語の検定試験「TOEFL」などで一定以上の点数をとることを大学受験の条件とするとか、小学校に理科の専任教師を配置する、すべての小・中・高校などでタブレット型の情報端末を1人1台整備することなどを提言している。  これらの施策は、むしろ進めてもらいたい事柄だ。だだ、「平等主義を脱却し」少数のエリートだけを対象にしているのであれば、大変な誤りとなるだろう。我が子を「少数のエリート」の中に何とかしもぐり込ませたいと考えるのは親心だ。そこで無用で熾烈な競争が起きることは明かだ。  そのような無意味で不毛な競争を煽って学力を形式化させ、子どもの心や身体を歪めてきたのが今までの教育ではないだろうか。それを激化させることが「再生」である訳がない。

0 件のコメント:

コメントを投稿