2013年3月9日土曜日

環境省の調査は作為的すぎるからデータの信憑性すらも揺らぐ

 昨日、環境省は福島県が実施している子どもの甲状腺検査の結果と比較するため、福島以外の青森県弘前市、甲府市、長崎市の3市で行った調査結果(速報値)を発表した。  これまでの調査では、対象の41%で小さなしこりなどが見つかっていたが、今回行われた県外3市での調査では57%だったので、環境省は「そもそも健康に悪影響を及ぼすものではないが、それで比較しても福島の内外の結果はほぼ同じ」とコメントしている。  福島県の調査は、事故当時に0~18歳だった約36万人が対象で、このうち1月までに検査を終えた約13万3000人の41%で、5ミリ以下のしこりや2センチ以下の嚢胞(分泌液を蓄える袋)が見つかっている。今回の調査は3歳から18歳までの4365人が対象になっている。 [以上がマスコミの報道を総合した内容だ。]  僕が記者なら「環境省は『そもそも健康に悪影響を及ぼすものではないが、それで比較しても福島の内外の結果はほぼ同じ』とコメントしている。」の部分を 「環境省は『そもそも健康に悪影響を及ぼすものではないが、それで比較しても福島の内外の結果はほぼ同じ』と鬼の首でも取ったようにコメントしている。」と書きたいところだ。  どうしてこうも高飛車な態度にでるだろう。この調査の狙いは福島で子どもを育てている保護者たちの不安を取り除くことが目的だったという。「不安を取り除く」のは保護者を安心させてあげたいからではないのか。それなら、もっと別のコメントがあるべきだ。 「不安に思う気持ちはもっともだけれど、福島から遠い他の地域でも同じくらいの割合で甲状腺にしこりや嚢胞を持つ子供がいることがわかりました。福島の子どもの割合が特別に高いとは言えないかもしれません。引き続き調査をしていきますのでどうぞ皆様も注意していてください。」とかなんとかネ。  そんな言葉も出ないほど政府は、不安を抱く福島の保護者たちと世論に追い詰められているのだろう。 だいたい、今回の調査結果から「福島の割合は他地域と大差がない」という結論を急ぎすぎていることがよく見て取れる。  まず調査対象が13万3000人と4365人では、30倍以上の開きがある。また、調査地域の設定の理由は示されていない。さらに、しこりや嚢胞の大きさの比較が無い。もし、被曝との因果関係を比較するなら、1ミリ以下が何人、1ミリから5ミリが何人、5ミリ以上が何人、という具合に発表すべきだ。この程度のデータで「放射能は関係ない」と結論づけるのは乱暴だ。小学生の夏休みの自由研究以下だと感じる。「速報値」ということで発表されているから、詳細は後日出てくるのだろうが、わざわざ速報値を出してまで不安を訴える人々を黙らせようという意図がハッキリと見える。  つまり調査そのもの虚心坦懐に始められたものではなく、最初から「因果関係を否定する」という目的をもって行われたのではないかと勘ぐりたくなる。いや、おそらくそうなのだろう。  それも保護者を安心させたいなどという殊勝な理由ではなく、喧しい愚民どもを黙らせたいという狙いで行われたに違いない。ま、環境大臣が大臣だからナ。  これが今の日本支配者たちの本性だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿