2013年4月11日木曜日

生命の刻印を乱すのは誰だ?・・・ヒジキ記念日に寄せて

 昨年の今日、祝島のヒジキを食べ、ヒジキの印象が一変した。ヒジキは立派に主役を演じられる役者だと気がついた。  だから4月11日はヒジキ記念日だ。  ヒジキは、褐藻類ホンダワラ科ホンダワラ属の海藻でラテン語名はSargassum fusiformeという。実はこの名前は2001年に決まったものだ。以前は(Hizikia)という独立した属で、「ヒジキ」という日本語がそのままラテン語化されて属名になっていた。DNAの分析でホンダワラ属(Sargassum)に変更された。  変更前の属名が「Hizikia」(ヒジキア)と命名されているところからもわかるように、日本近海の固有種である。1万年前ごろの縄文時代の遺跡に見られると聞いたことがある。古くから食べられていたと考えられている。平安時代の『伊勢物語』には鹿尾菜藻(ひじきも)という古名で記載があり、その他の古典にも出ているそうだ。  分布域は北海道南部から九州までの外海に面した波のやや荒い岩礁の潮間帯の下限から低潮線に生息している。  褐藻類だからコンブやワカメと同じ仲間だが、ビタミンA、B群、E,K、各種ミネラルなどが含まれて食材としても優れている。  僕の中では今日がヒジキ記念日だが、実は「ひじきの日」というのが本当にあって、9月15日だ。ヒジキを食べると健康で長寿を保てるから敬老の日をひじきの日にきめたのだそうだ。  ヒジキに限らないが海で獲れる食材には生命維持のために欠かせない栄養素が豊富に含まれているものが多い。生命が海で生まれたためだろう。われわれの身体にも海の刻印がはっきりと残っているから海の産物は美味しいし、健康維持に欠かせないのだろう。 いま、その海をむやみに汚していることが残念でならない。福島第一原発で、放射性物質によって汚染された水が大量に漏れだしている.漏れた水は地下に浸透し最終的には海に運ばれるだろう。直接たれ流されている分もあるかも知れない。  海の汚染は静かに、しかし確実に進んでいるようだ。  これまでもわれわれ人類は、様々な形で海を汚してきたと思う。だが、放射性物質による汚染は今までとは質が全く異なるもののように思う。放射線が傷つけるのは遺伝子DNAである。だから、大袈裟な表現かも知れないが、ヒジキをヒジキ属をホンダワラ属に繰り入れたような生物分類の根拠が撹乱される危険性さえ含むかも知れないのだ。  少なくとも38億年かかって受け継がれてきたDNAを無神経に撹乱していることは間違いない。  われわれはもはや取り返しのつかない領域に踏み込んでいるのかも知れない。

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